放り投げたバット、そしてゆっくりと一塁方向に歩を進める「主役」の姿が「確信」させてくれた。一塁を回る直前で珍しく右の拳で作ったガッツポーズ。それだけこの一発の「意味」は大きかった。同点の「きっかけ」を作ってしまった坂本が飛び跳ねながら「主役」を迎え入れる。9回裏。鬼の形相で決めた送りバント。きっと、あのバントは彼に「何か」をもたらすと思う。そしてあのバントがチームに更なる緊迫感をもたらしたと思う。あくまで「個」ではなく「チーム」であること・・・を。快投を演じながら・・・9分通り2ヶ月半ぶりの「勝利投手」を手にしながら、寸暇のところで「それ」を逃した藤井が笑顔で「主役」を出迎えている。9回「あと1人」から同点にされ、自らの「勝ち」が逃げていった刹那、その厳しい「事実」より、「同点」で食い止めたクロスプレーに拍手を送り、大きな声でナインを出迎えた姿。本当は想像できないくらい悔しい感情もあるだろう。でも、あくまで「チーム」の一員として振舞う姿。それを見てかどうかはわからないが、山口は己のグローブを叩きつけんばかりに振り上げた腕を途中で止めた。確かにスンナリ勝たなきゃならない試合だったのかも知れない。「ダメ押し」が足りなかったし、9回も守りのミスがあった。でも、序盤から反対方向を意識して、後ろに控える「仲間」を信じて「つなぐ」打撃を徹底した打線の姿や、フィナーレに向かう過程で見る事が出来た様々な光景が教えてくれた。「ジャイアンツはまだ死んでいない」明日。16日ぶりに帰ってくる本拠地東京ドーム。待ち焦がれた「ホーム」のファンにも「確信」させて欲しい。小笠原の描いた放物線。それが「逆襲」の「号砲」であった事を。「新潟発」のVロード。振り返れば「あの時の・・・」になるような・・・そんな予感がする。「明日も全員で戦います」「主役」が残したこの言葉。選手だけじゃない。ファンも戦う。最後まで・・・原辰徳が宙に舞う日を信じて。その日まで・・・。
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